疾患情報集

疾患詳細

慢性扁桃炎

 

・扁桃腺はのどの入り口にあるリンパ組織で、外界の細菌やウイルスなどの病原体を捕らえて、体内に入れないようにしています。
・扁桃腺が感染を起こすと、発熱や咽頭痛を生じますが、通常は1週間くらいで軽快します(急性扁桃炎)。
・扁桃腺の炎症を繰り返すものを慢性扁桃炎といいます。

 

疾患原因

・慢性扁桃炎には習慣性扁桃炎、病巣扁桃、扁桃周囲膿瘍などがあります。

 

症状解説

 

・習慣性扁桃炎は年に5回以上、扁桃腺が腫れて高熱を出す病気です。
・病巣扁桃とは扁桃腺が原因となり、腎臓が悪くなったり(慢性腎炎)、手のひらや足のうら発疹が出たり(掌蹠膿疱症)、心臓が悪くなったり(弁膜症)する病気です。
・扁桃腺に溶連菌などの細菌感染が起こると、体の中に抗体ができて免疫反応を起こし、その免疫複合体が血液に入ることによって、腎臓や皮膚、心臓にくっついて各種の臓器障害を起こすといわれています。
・病巣扁桃が疑われる場合は、扁桃腺を超音波などで刺激して、前後で体温や血液中の白血球数、尿の蛋白量が変化するか調べて、悪い扁桃腺かどうか決定します(扁桃誘発試験)。
・扁桃周囲膿瘍とは扁桃腺の炎症が周囲に波及して、膿を形成する病気です。成人に多く、早期に切開排膿しないと、膿が広がって嚥下困難や呼吸困難を生じます。

 

治療法と注意点

 

・扁桃腺が腫れた場合は抗生物質を内服または点滴して、痛み止めも使用します。
・習慣性扁桃炎、病巣扁桃、扁桃周囲膿瘍を起こした人や、扁桃腺が大きくて(扁桃肥大)夜中に息が止まるような症状がみられる人(睡眠時無呼吸症候群)では扁桃腺の手術(扁桃摘出術)を行います。
・以前は数回、腫れただけで扁桃腺を摘出していましたが、最近は扁桃の免疫機能が評価され、また抗生物質も進歩してきたため、上記のような適応でないと手術はしません。
・小児では免疫機能が未熟なため感染を起こしやすいといわれてます。このため、扁桃腺の摘出は少なくとも5歳まで待ってからの方がよいでしょう。成長と共に体の抵抗力がついて熱を出さなくなることもあります。
・扁桃腺摘出術は2週間くらい入院して、全身麻酔で行います。以前は扁桃腺の露出部だけを切除していましたが、最近は扁桃腺のカプセル全体を摘出します。小児では同時にアデノイド(上咽頭扁桃)も摘出します。
・扁桃腺の炎症を防ぐには、いつものどを清潔にして、外から帰ったら、必ずうがいを行いましょう。

 

右扁桃周囲膿瘍
右扁桃周囲膿瘍

 

関連疾患(細目)

 

急性扁桃炎
扁桃周囲膿瘍
病巣扁桃
習慣性扁桃炎
伝染性単核球症

 

 

ホーム疾患情報集疾患情報 > 慢性扁桃炎