専門治療

外来手術 詳細

下鼻甲介粘膜レーザー焼灼術(両側)

手術分類:外来

 

 レーザー治療は鼻の粘膜の表面のみにレーザー光線を当てて、傷んだ部分のみを蒸散することによりアレルギーの反応を抑える手術です。
 アレルギー性鼻炎は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりを特徴として、家のゴミが原因のことが多い通年性のものと、スギや雑草の花粉が原因の季節性のものがあります。
 治療はアレルギーの反応を抑える飲み薬や点鼻薬を使いますが、薬を止めると症状が再燃することが多く、決定的な方法はないのが現状です。
 ここ数年、医療用レーザーは目覚しい発展を遂げ、耳鼻咽喉科領域でも日常診療に使われるようになってきました。特に、アレルギー性鼻炎に対するレーザー治療は、1995年から始まり、1999年から保険が適応になったため、広く普及してきています。
 アレルギー性鼻炎では、鼻の粘膜に原因となる抗原が付着し、局所的なアレルギー反応を起こして、腫れてむくんでいます。そのため、鼻で呼吸することが難しく、鼻づまりが生じます。また、同時に鼻水やくしゃみも起きます。特に鼻の穴の中で面積が一番広い下鼻甲介という部分の粘膜に症状が強く出ます。
 レーザー治療は鼻の粘膜の表面のみにレーザー光線を当てて、痛んだ部分のみを蒸散(固体を気体に変えること)することにより、アレルギーの反応を抑える手術です。
アレルギーの根治的な治療ではないので、術後も内服や点鼻は併用しますが、手術後には薬を必要とする頻度が減ります。

レーザー照射開始

レーザー照射開始

レーザーを照射し終わったところ

レーザーを照射し終わったところ

 

手術前の検査

 手術を行う前に鼻の粘膜をよく観察し、血液検査を行い、アレルギーの強さや原因物質である抗原を調べます。また、必要に応じて内視鏡検査や鼻のレントゲン撮影を行い、副鼻腔炎(鼻のポリープなど)や鼻中隔弯曲(左右の鼻のしきいの曲がり具合)を評価します。
 これらを合併しているとレーザー治療のみでは症状を改善することが難しいため、ポリープを除去する内視鏡下鼻内手術や鼻の曲がりを治す鼻中隔矯正手術が必要な場合もあります。

 

補足注意事項

 年齢は8歳くらいから行うことが可能です。
適応はアレルギー性鼻炎や肥厚性鼻炎で、薬の治療を数ヵ月間行っても効果のない方です。また、妊娠する可能性のある方や、通院の困難な人、薬をあまり飲みたくない人も対象となります。
 レーザー手術では麻酔を使用します。鼻に局所麻酔液を数回に分けてスプレーし、さらに麻酔液のついたガーゼを15分間ほど入れます。
通常これで手術中に痛みを感じることはほとんどなくなります。
 片側づつ約5分間、下鼻甲介粘膜全体にレーザーを照射します。両側一度に行い、約10分間で終了します。レーザーによる出血はほとんどありませんが、粘膜を焼くにおいが少しします。術後は鼻にガーゼなどはつめません。
 レーザー治療の直後は鼻づまりがかなり改善しますが、術後半日から1週間くらいは、手術で粘膜が軽いやけどをした状態となり、白いかさぶたがつくので、かえって鼻づまりが悪化します。
 1週間後くらいから症状が軽くなり、1ヵ月目にはかなり良くなります。
 重症な患者さんでは経過を見て、効果が不十分な場合は数ヵ月後にレーザー焼灼を追加する場合があります。
 約90パーセントの方が鼻づまりが改善し、70%の方が鼻水・くしゃみが改善します。治療効果には個人差があり、一般的には粘膜の浮腫が強い方、抗原の種類が多く、反応が強い方、年齢の低い方、喘息を合併している方、鼻腔が狭い方は治療効果が十分に得られないことがあります。

 特に問題がなければ、そのまま仕事や学校に行ってかまいません。
 術後の感染予防のため、約5日間抗生剤を内服します。激しい運動や飲酒は2・3日避けてください。

粘膜が腫れている

粘膜が腫れている

痂皮がつく

痂皮がつく

腫脹が軽快

腫脹が軽快

 

費用・その他

両側:2910点(2022年4月1日以降)
3割負担で11、000
*この他に検査料などがかかります

約30分

 

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